10歳のときに両腕を失った卓球アスリート:不屈の精神でパラ五輪を果たす
エジプト出身のイブラヒム・ハマトは両腕のない卓球選手としてパラリンピックに出場したアスリートだ。
今回は、どんな逆境におかれてもそれに屈することのない、強靭な意思をもつハマトの物語を紹介しよう。
イブラヒム・ハマトは1973年10月15日にエジプトで生まれた。ハマトは10歳の時に列車事故に遭い、両腕を失うという悲劇に見舞われた。
人生を一変させる大事故に遭ったが、ハマトはそのまま泣き暮らすことはなかった。強い意志をもって、みずからの道を切り開くことを選んだのだ。
ハマトは障がいを抱えるようになってからもひとりの人間として豊かに生きることをあきらめず、卓球への情熱を形にする方法を探し求めた。
ハマトは徹底的なトレーニングを積み、さまざまな技術と戦略を身に着けていった。両腕を失うという大きな困難にもかかわらず、やがて独自の卓球スタイルを確立した。
試行錯誤の結果、ハマトはラケットを口にくわえてプレーできるようになった。こうすることで十分なパワーをもつショットを打つことができるようになった。
ハマトは試合に出るときは片足にしかシューズを履かない。右足の指でボールをはさんでサーブトスをするからだ。
ハマトは2016年のリオデジャネイロ大会でパラリンピック初出場を果たした。長年にわたる努力と忍耐の積み重ねの末、ハマトは大きな夢を叶えたのだ。
パラリンピック出場は、10歳で列車事故で腕を失って以来、ハマトが長年追い続けてきた夢だった。現実離れした夢......誰もがそう思ったが、ハマトは見事にその夢を叶えてみせた。
ハマトは試合後の会見でこう語った:「ハンディキャップがあるということは、腕や足がないことではなく、自分自身を信じることができないことなのです」
メダルを獲得することはできなかったが、パラリンピックという国際的な舞台に立ったハマトの姿は、世界中の数え切れない障害者たちに勇気を与えた。恐れずためらわず、夢を追い求める力強い姿を示したのだ。
ハマトの前向きな姿勢と強い精神力は、あらゆる立場の人々の心に響く。学校やその他の団体を訪問し、モチベーションを高める役割も担っている。
ハマトの物語は、限界とはしばしば、私たち自身が作り出すものであることを証明している。人間の肉体ははかないが、しかし精神はどんな物理的な障害も超越することができるのだ。
困難に満ちたこの世界において、ハマトは障がいを抱える人々の希望の星として光を放っている。その成功の秘訣は、正しい努力と揺るぎない意志だと語る。
2024年に開催されるパリ・パラリンピックのメインイベントのひとつは卓球であり、ハマトはゲストとして出席する。
パリ・オリンピックは7月26日から8月11日まで開催され、パラリンピックの日程は2024年8月28日から9月8日となっている。
世界最高のアスリートたちは大舞台にたつまでに、それぞれのライフストーリーのもとで驚異的な努力を積み重ねている。そうした力が存分に発揮される姿を楽しみにしよう。