興奮のあまり審判に暴行:トルコ・スーパーリーグ事件をはじめとするスタジアムでの大騒動
サッカーの試合で、審判はなにかと針のむしろに置かれがちだ。選手ばかりかファンやコーチからも怒りの矛先を向けられてしまうのだ。そして、ピッチにおける興奮は、時として暴力につながってしまうこともある。
最近では、MKEアンカラギュジュ対チャイクル・リゼスポル戦で見苦しい暴行事件が発生、トルコ・スーパーリーグ全体が一時中断に至った。ことの経緯はというと、試合が1-1で幕を閉じるや否やアンカラギュジュのファルク・コジャ会長がピッチに乱入し、ハリル・ウムト・メレル主審の顔にパンチをお見舞いしたのだ。
ハリル・ウムト・メレル氏はトルコ・スーパーリーグ有数のすぐれた審判だとされており、国際大会でも何度か審判を務めた経験がある。
この事件を受けてトルコサッカー連盟(TFF)は全リーグ戦を一時中断。一方、裁判所もファルク・コジャ会長の逮捕を命じたとのこと。
さらに、地面に倒れ込んだハリル・ウムト・メレル主審が2人の人物に蹴られる様子が映像に捉えられており、この2人も取り調べの対象となっている。
警備や取り締まりの強化によって、スタジアムにおける暴行事件は年々減少している。とはいえ、人気リーグでは判定への不満から乱暴狼藉に発展するケースもままある。たとえば、2023年3月にフラムFC(当時)のアレクサンダル・ミトロヴィッチが、FAカップのマンチェスター・ユナイテッド戦で主審を突き飛ばした事件が記憶に新しい。
ミトロヴィッチはクリス・カヴァナー主審に対する暴行に加えて不適切な発言も問題視され、8試合の出場停止処分および7万5,000ポンド(およそ1230万円)の罰金が科された。
しかし、判定をめぐって発生したもっとも凄惨な事件といえば、2013年にブラジルでアマチュアサッカーの試合中に発生したものだろう。
この試合で主審を務めたオタヴィオ・ジョルダン・ダ・シウヴァは、退場処分に従わなかったジョゼニル・ドス・サントス・アブレウ(31)にナイフを突き立て殺害。激昂してピッチになだれこんだファンが主審に向かって石を投げつけ、さらには頭部を切断。肢体もバラバラにした上で、ピッチに杭を打ち込み生首を掲げたという。
手に汗を握るサッカーの試合はときに激しい興奮をもたらすものだ。しかし、だからといって暴力が許されるわけではない。お互いスポーツマンシップに則って、フェアな戦いを心掛けなくてはならないのだ。