パリ五輪選手村で配布されたコンドームは30万個:オリンピックに欠かせない備品?
オリンピック開催期間中、選手村が「出会いの場」になるのは周知の事実だ。そこで、パリ五輪の主催者は選手たちのヘルスケアに配慮して、コンドームおよそ30万個を配布することを決めた。
選手村のディレクター、ローラン・ミショー氏いわく、30万個あれば、選手1人あたり29個利用することができるとのこと。
オンラインメディア「POPSUGAR」の問い合わせに対し、パリ五輪の広報担当者は次のように回答したという:「男性用コンドーム20万個、ラテックス不使用の男性用コンドーム1万個、女性用コンドーム2万個、デンタルダム1万個を用意しました。すべてローションも付属します」つまり、あらゆるニーズに対応できるということだ。
主催者はまた、選手たちの間で性感染症に関する知識を普及させるため、とくに注意を払っている。「POPSUGAR」によれば、「選手村ポリクリニックにて、おもな性感染症とその感染経路について、意識を高めるキャンペーンを行っている」そうだ。
「POPSUGAR」はさらに「ポリクリニックでは、おもにHIVを対象としたスクリーニング検査も行われており、必要に応じて治療や投薬も受けられる」としている。
カナダ代表のセーリング選手、サラ・ダグラスは五輪ブランドの避妊具を紹介するTikTok投稿の中で、「金メダリストでなくても着用できます。愛のフィールドでもフェアプレーを心がけ、同意を求めましょう」とコメントしている。
ところで、選手村におけるコンドーム配布の習慣はいつから始まったのだろう? 国際オリンピック委員会(IOC)によれば、1988年のソウルオリンピックが最初の例であり、選手村でHIVが蔓延することを懸念した主催者が、「健康に配慮した行動」を推奨するために始めたものだという。
2000年に開催されたシドニーオリンピックでは、事前に用意されたコンドーム5万個が使い果たされてしまい、主催者は2万個の追加発注を行うことになったそうだ。
米国の水泳選手ライアン・ロクテいわく、オリンピック選手は75%近くが性にも積極的だ。一方で、コンドーム配布は選手村の実態について誤解を招いているとする選手もいる。
実際、英国代表のボート選手ザック・パーチェスは『ガーディアン』紙に対し、「コンドームの配布量は膨大ですが、それは選手村の実態とかけ離れています…… アスリートたちは人生最高のパフォーマンスを発揮しようと懸命なのです」とコメントしている。
ちなみに、今回配布された30万個という数は控えめな方だ。「POPSUGAR」によれば、リオ五輪で配布されたコンドームの数は45万個であり、この記録はいまだ破られていないとのこと。ちなみに、コロナ禍直後に行われた東京オリンピックでは、ソーシャルディスタンスの確保が徹底していたため、コンドームの配布そのものが行われなかった。
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