鳴り物入りで女子バスケリーグ入りするも非難にさらされたケイトリン・クラーク選手
史上最高の選手といわれ、高い注目を集めてアメリカの女子バスケリーグWNBA入りをしたケイトリン・クラークだが、デビューシーズンは波乱含みの展開となった。
ドラフト1位で鳴り物入りのプロデビューを果たしたクラークだったが、必ずしも全員がそのパフォーマンスに納得しているわけではないようだ。
前哨戦とも言うべき、9月に行われたミネソタ・リンクス戦でクラークのインディアナ・フィーバーは力を出し切れず大事な一戦で負けてしまった。ある解説者に至ってはクラークの振るまいが敗北の原因だとしていた。
ジェイソン・ウィットロックはSNSにこう投稿している:「昨晩のケイトリン・クラークは愚かだった。見ていて恥ずかしくなるパフォーマンスだ。感情をコントロールできずレフェリーとの口論に執着したせいでインディアナ・フィーバーはばらばらに崩壊してしまった」
ウィットロックはさらにこう続けている:「審判とやり合うことにかけてはクラークは折り紙付きだ。審判に文句を言ってわめき散らしている時間なら文句なしでWNBAいちだろう。しかも昨晩はいままでの上を行くレベルを見せてくれた。まるで12歳の悪ガキだ」
クラーク本人は次のように語っている:「確かに越えてはいけない線はあります。わたしはイライラしていましたし、後半のミドルシュートでは何度か反則も取られました。そういうことは起こります」『デイリー・メール』紙が伝えている。
問題とされているのは激しい気性だけではない。ケイトリン・クラークはターンオーバー(シュートミス以外でボールが敵チームの手に渡ること)の回数もリーグ史上類を見ないほど多いのだ。
8月の試合でクラークは23得点、8アシスト、5リバウンドという好成績を残している(「Basketball Reference」より)。皮肉にもそれもミネソタ・リンクス戦だったのだが、同時にクラークは見逃せないミスでチームを窮地に陥らせてもいる。ウィットロックはこの点についても試合時にコメントしている。
アメリカのスポーツチャンネル「ESPN」や「Fox Sports」でも解説を務めたことのあるウィットロックだが、クラークには手厳しいコメントをしている:「ケイトリン・クラークのターンオーバーについてあれこれ言い訳するのはやめたほうがいい。だらしないミスだし、チームを損なっている」
WNBAのシーズンも後半になるにつれ、ひとつひとつの試合の結果が重くなる。重要な瞬間にターンオーバーを起こせば、大事な試合を落とすことにもつながりかねない。
クラークはいちシーズンあたりアシスト数のルーキー記録をすでに更新しており、1試合あたりの平均アシスト数でも首位となっている。だが同時に、いちシーズンあたりのターンオーバー数でも記録を作ってしまっている。
「Fox Sports」でウィットロックと組んでいたこともあるスキップ・ベイレスはクラークの才能を認める立場で、ミスも許容できるとしている。ベイレスはこう投稿している:「あと12試合を残した時点で、ケイトリンはいちシーズンあたりのターンオーバー数で新記録を作ってしまった。だがこれもしょうがないと思う。多くのターンオーバーは、もし通っていたら素晴らしいパスになっていた。実際アシスト数ではトップクラスだし、目を見張るようなパスも連発している」
『Marca』紙もベイレスに近い認識を示しており、次のように書いている:「致命的な欠点と見るか、挑戦的なゲームメイキングの副産物と見るかは分かれるものの、こういったターンオーバーはクラークのプレースタイルの中心的要素となっている」
インディアナ・フィーバーのヘッドコーチ、クリスティー・サイズは、クラークのテクニカルファウルが増え続けていることを受けて、クラークに感情をもっとコントロールするよう諭したという。サイズは「Athlon Sports」にこう語った:「クラークとは一度話をします。不必要な欠場は避けないといけません。それこそ話をすべき事態です」
クラークのターンオーバー数は他の多い選手(アリッサ・トーマス)と比べても1試合あたり2回ほど多い。そのため、インディアナ・フィーバーの守備の選手はシーズン終盤にかけてより適切な状況判断で試合を引き締める必要がある。
WNBAのレジェンド、ダイアナ・トーラジは、クラークはこれを乗り越えられると考えているようだ。ただし、成長には痛みも伴うとも述べている。トーラジは「USA Today」にこう語った:「WNBAは大学バスケとは違いますし、国際試合となればなおさらです。それぞれがまったく違うステップのダンスのようなもので、学び直しが必要です」
とはいえ、5月から9月下旬までのレギュラーシーズンが終わりを迎えた時点で、クラークはアシスト337本でWNBAの最多記録を更新。AP通信WNBA新人王を始め数々の賞に輝いたほか、チームをプレーオフに導いている。ファイナルへ向けた活躍から目を離せない。