画像で追う2002年FIFAワールドカップ日韓大会:世界が注目した初のアジア開催
ヨーロッパと南北アメリカで交互に開催されてきたFIFAワールドカップが、はじめてアジアで、さらには2カ国共同開催となったのが2002年の日韓大会だ。番狂わせが続くも最終的には強豪国同士の決勝となったエキサイティングな大会だった。今回はそんな日韓大会を振り返ってみよう。
日本と韓国が共同でホスト国となり、両国で多くのスタジアムが新たに建設された。
前大会王者のフランスが、開幕戦で大会初出場のセネガルと対戦した。ティエリ・アンリをはじめ、多くのスター選手を抱えるフランスを相手に、パパ・ブバ・ディオプが先制点を挙げ試合はそのまま終了となった。開幕戦から世紀の大番狂わせとなったのだ。
最終的にフランスはグループリーグ最下位に終わり、決勝トーナメントに進出することなく姿を消した。しかし日韓大会の番狂わせは、フランスの敗退だけではなかった。
ポルトガル、アルゼンチン、クロアチアといったサッカー強豪国も、グループリーグで敗退してしまった。
ホスト国の日本は、グループリーグで素晴らしい輝きをみせた。グループHでベルギーを抑えて首位となり、決勝トーナメントへこまを進めた。
共催国の韓国も、グループDでポルトガルとポーランドを退け首位に立ち、2位のアメリカとともに決勝トーナメントへ進んだ。
史上初、しかもグループ首位で決勝トーナメントに進出した日本。しかしトルコに0-1で敗れ、ベスト8には届かなかった。
グループリーグを2位で突破したアメリカも、日韓ワールドカップのサプライズのひとつだった。原動力となったのは、ランドン・ドノバンだ。
そして大旋風を巻き起こしたのがセネガル代表だ。エル・ハッジ・ディウフを攻撃の中心とした機動力の高いチームで、決勝トーナメントでも快進撃を続けた。アンリ・カマラのゴールデンゴールでスウェーデンを退けたものの、ベスト8ではトルコ相手に延長戦にもつれ込み0-1で敗退した。
過去最高の成績を収めたトルコは、準決勝までこまを進めた。しかしブラジルを相手に1-0で敗退。ゴールを決めたのはロナウドだった。
準々決勝まで進出したアメリカは、ドイツのスター選手ミヒャエル・バラックにゴールを決められ1-0で姿を消した。
韓国はベスト16でイタリア、準々決勝でスペインを破り世界を驚かせた。史上はじめて準決勝に進出した韓国だが、イタリアやスペイン戦で誤審問題があった。世界中で大きな物議となったので、今日に至るまで「もっとも論争を呼んだワールドカップ」と称されている。準決勝でドイツと対戦した韓国は、バラックにゴールを決められ1-0で敗退した。
ドイツ代表で重要な役割を担ったのは、ミヒャエル・バラックとオリバー・カーンだ。バラックは攻守ともにチームのバランスをとりながらゴールを量産し、当時世界最高峰のゴールキーパーと称されていたカーンは守護神として見事な活躍を見せた。
スター選手はバラックとカーンだけではない。今や伝説的な存在となっている選手たちが、日韓ワールドカップを通して目覚ましい発揮をみせた。
ロベルト・カルロスや、伝説的なフリーキックでイングランドを下したロナウジーニョをはじめ、多くのビッグネームを抱えていたブラジル。その中でロナウドは、大会8ゴールで得点王となり日韓ワールドカップ最大のスターとなった。
ロナウドの一列下には、卓越したパスワークと技術で世界を魅了したリバウドもいた。準々決勝の対イングランド戦であげた同点ゴールをはじめ、重要な場面で輝きを放った。
その他にも、ハサン・シャシュ(トルコ)、ホン・ミョンボ(韓国)、ランドン・ドノバン(アメリカ)、ソル・キャンベル(イングランド)、エル=ハッジ・ディウフ(セネガル)などが最高のパフォーマンスをみせた。
3位決定戦は韓国とトルコの対決となった。イルハンが2得点を挙げ、最終的に2-3でトルコが勝利した。
決勝に進出したのは、サッカー界の最高峰であるドイツとブラジルだ。
決勝の舞台となった横浜国際総合競技場で、カーンは取り返しのつかないミスを犯してしまう。リバウドのミドルシュートを取りこぼし、ロナウドに今大会7点目となるゴールを許してしまったのだ。
ロナウドはさらに今大会8点目となるゴールを挙げ、試合を0-2とし勝利を決定づけた。
ドイツは最後まで息を吹き返すことができず、ブラジルが優勝した。ブラジルにとってワールドカップ通算5度目となる優勝となった。
こうしてブラジルの優勝で大会は幕を閉じた。今でも「史上最も論争となった大会」「史上最もエキサイティングな大会」として日韓大会を振り返る人が多い。