2023年スポーツ界を彩る「ワーストプレー」の数々:無念をきわめたしくじりとは
スポーツ界の1年を振り返って思い出されるのはふつう、その年の名勝負や劇的な勝利といった輝かしいシーンだろう。しかし、栄光の陰には悔いの残るしくじりが横たわっていることを忘れてはいけない。そこで、今回は2023年のスポーツ界を彩る大失態の数々を振り返ってみよう!
フランスのリーグ・アンでは無敵のパリ・サンジェルマンFCだが、UEFAチャンピオンズリーグでは散々な結果に。大金を投じてキリアン・エムバペやメッシ、ネイマールといった世界的フォワードを揃えていたにもかかわらず、ラウンド16でFCバイエルン・ミュンヘン相手に0対1・0対2の2連敗。あっけなく脱落してしまった。
このところ精彩を欠くFCバルセロナだが、これは今に始まったことではない。スペインのラ・リーグはかろうじて制したものの、UEFAチャンピオンズリーグでまたもや敗退したほか、UEFAヨーロッパリーグでもマンチェスター・ユナイテッドFC相手に2対2・1対2で初っ端から脱落してしまったのだ。
「ドリームチーム」の異名を持ちながら、ワールドカップでまたも無念の敗退を喫したバスケットボール米国代表。フィリピン、日本、インドネシアの共同開催となった今回のバスケットボールW杯では、メダルなしで帰国の途につくこととなった。準決勝のドイツ戦では111対113で敗れ、3位決定戦のカナダ戦では118対127で銅メダルを逃してしまったのだ。
とはいえ、少なくとも4位入賞を果たした米国代表の場合、ことは「しくじり」で済むかもしれない。けれども、フランス代表がバスケットボールW杯で演じた失態はまったく救いようがない。ナンド・デ・コロやエヴァン・フルニエ、ニコラ・バトゥーム、ゲルション・ヤブセレ、ルディ・ゴベールなど、錚錚たるスター選手が勢ぞろいしていたにもかかわらず、勝利はレバノン戦(85対79)のみ。カナダ戦(65対95)、ラトビア戦(86対88)と連敗し、グループステージで敗退してしまったのだ。
所属選手たちがあれこれ言い訳を口にする中、意外にも好調なスタートを切ったフェルナンド・アロンソ率いるアストンマーティン。ところが、マシンの競争力不足でチームの勢いは失速、シーズン中にトップから最下位へと転落してしまった。
2年連続でプレーオフから脱落したニューイングランド・ペイトリオッツ。しかも、2023年はピッツバーグ・スティーラーズ相手に敗北を喫し、2000年以来2番目に早い敗退となってしまった。多くの専門家たちによれば、今のペオトリオッツには攻撃力が不足しているとのこと。
2020-2021シーズンにNBAを制したミルウォーキー・バックス。2022-2023シーズンはヤニス・アデトクンボを筆頭に最高の陣容でプレーオフに挑み、優勝候補と見なされていた。ところが、かろうじてプレーオフ進出を果たしたマイアミ・ヒート相手に1対4で敗北、第1ラウンドで脱落という結果に。
アレクサンデル・イサク率いるスウェーデン代表はベルギー代表およびオーストリア代表を前に惨敗。アーリン・ホーランドやマルティン・ウーデゴールといったスター選手を擁するノルウェーも、スペイン代表とスコットランド代表に蹴散らされ、北欧勢はそろって2024年のUEFA欧州選手権からドロップアウトしてしまった。
レプソル・ホンダ・チームの一員として参戦したマルク・マルケスだったが、今シーズンはホンダ史上最悪のMotoGPという悪夢に。11年所属したチームに見放され、グレシーニ・レーシングへ移籍することとなった。
サウジアラビアの投資で設立されたLIVゴルフ。ジョン・ラームと数百万ドルに上る契約を交わし、ゴルフ界の注目を集めることとなった。ところが、初シーズンとなる2023年は、およそ7億8,400万ドルもの資金をつぎ込んだにもかかわらず実質的に収入ゼロ、鳴かず飛ばずに終わってしまった。
女子サッカーの強豪としてつねに優勝候補と目されてきた米国代表。満を持してFIFA女子ワールドカップに挑んだが、ヴラトコ・アンドノフスキ監督率いる米国代表はラウンド16でスウェーデン代表にPK戦の末、惜敗。3度目の優勝ははかない夢に終わった。
しかし、2023年のFIFA女子ワールドカップで痛い目にあったのは米国代表だけではなかった。ドイツ代表もコロンビア・モロッコ・韓国という強豪たちと同組となり、史上初となるグループステージ敗退を喫したのだ。まさに、ドイツサッカー史に残る悪夢と言えよう。
フランスで開催されたラグビーワルドカップでは、ウェールズ代表とフィジー代表の思いがけない活躍によって、オーストラリア代表が史上初となるグループステージ敗退を喫した。この事件について、豪メディアは「身の毛がよだつ」「屈辱的な失態」などと大々的に報じている。
40年間にわたって野球界に君臨してきたキューバ代表だが、最近ではその勢いに陰りが見える。チリのサンティアゴで開催された2023年のパンアメリカン競技大会では、ブラジル代表相手に2対4でまさかの敗北。前回大会に続き、メダルを逃してしまった。
ペレやネイマールといった伝説的選手を輩出してきたブラジルの名門クラブ、サントスFCが111年のクラブ史上初めてセリエB(2部リーグ)に降格。ブラジルサッカー界に激震が走った。これによって1部リーグ脱落を経験したことがないクラブはCRフラメンゴ、サンパウロFC、クイアバECの3つだけに。
一方、ドイツのブンデスリーガでも、今シーズンは歴史あるクラブが降格の憂き目にあっている。昇格からわずか1シーズンでふたたび2部リーグに沈んだシャルケ04と、クラブ史上7度目となる降格を喫したヘルタ・ベルリンである。
2023年のツール・ド・フランスは、名門4チーム(EFエデュケーション・イージーポスト、モビスター・チーム、アスタナ・カザクスタン・チーム、グルバマ・FDJ)の没落を印象づける大会となった。総合優勝はもとより区間優勝さえつかむことができなかったのだ。
元サッカー選手のジェラール・ピケが率いるスポーツ投資会社「コスモス・グローバル・ホールディング」は2018年、国際スポーツ連盟(ITF)と25年間のスポンサー契約を結び、デビスカップの改革に乗り出していた。ところが、新たな方式はファンに不評だとしてコスモス社とITFが決裂。数百万ドルにおよぶ損害を出した末、2023年1月に契約解消となった。
多額の投資で戦力強化を図るサンディエゴ・パドレスとニューヨーク・メッツだったが、ナショナルリーグ優勝を果たせずワールドシリーズへの出場は叶わなかった。一方、アメリカンリーグ東地区の名門、ニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスも同じく情けない運命を辿っている。
優勝候補としてユーロリーグに臨んだ、ニコラ・ミロティッチ率いるFCバルセロナ・バスケット。ところが、準決勝の初戦で永遠のライバル、レアル・マドリード・バロンセストと激突、トーナメントからはじき出されてしまった。一方、レアル・マドリードは5年ぶりとなる優勝を手にしている。
ツール・ド・フランスで失態を演じたモビスター・チームだが、2023年のブエルタ・ア・エスパーニャでも結果は期待外れ。チームを率いるスター選手、エンリク・マスは6位より上に浮上できず、その他の選手たちはそのレベルに達することすらできなかったのだ。
自国開催の全仏オープンで結果を残すことができなかったフランス勢。最後までトーナメントに残っていたアルトゥール・ランデルクネクがテイラー・フリッツ(米)に打ち負かされ、2回戦までに男女ともに全滅してしまったのだ。
世界水泳連盟は2023年10月にベルリンで開催されたワールドカップにおいて、「オープンカテゴリ」と称する実質的なトランス枠を導入した。ところが、出場希望者は1人も現れなかったという。