2024年パリ五輪閉幕:オリンピック開催にまつわる「負の」側面とは

パリオリンピック閉幕
オリンピックの負の側面とは
オリンピックに反対するパリ市民
パリ市民の不満
テロ警戒区域は混乱を極める
イダルゴ市長とパリオリンピック
開会式でダンサーがストライキを計画
開会式の問題点
テロへの警戒を強めるパリ
厳重な警備の弊害
影響を受ける地元の飲食店
他国からの干渉に対する懸念
イスラエル選手団の参加禁止を求める声も
オリンピック参加禁止の前例は?
「持続可能なオリンピック」にはなっていないという批判
中国のドーピング問題
完璧なオリンピックは存在するのか
パリオリンピック閉幕

現地時間8月11日にパリオリンピックがはやや課にその幕を閉じた。そして8月28日から9月8日にかけて次なる戦い、パラリンピックが開催される。

オリンピックの負の側面とは

オリンピック、パラリンピックとも4年に1度、世界中から何千人ものスポーツ選手が一堂に会し、金メダルを目指してその技を競い合う。アスリートのキャリアにおいて、頂点とも言える瞬間だろう。しかし競技に参加しない人にとっては、イベントには面倒なことのほうが多いかもしれない。今回なオリンピックの負の側面についても見ていこう。

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オリンピックに反対するパリ市民

オリンピックは世界中から何万人もの観客を受け入れるため、開催都市のインフラに支障をきたすことが多い。昨年、パリ市長のアンヌ・イダルゴは英『BBC』に対し、公共交通機関の拡充は「オリンピック開催までに間に合わない」と語り、地元住民に負担をもたらす可能性があると話した。

パリ市民の不満

2023年同放送局に対し、あるパリ市民の女性は「パリは我慢できないほどひどい状態になると思う。駐車も移動も、何をするのも難しくなるわ。イダルゴ市長はパリを台無しにするつもりよ。オリンピックには全く関わりたくないの」と語り、オリンピックが始まる前にパリを離れるつもりだと続けた。

テロ警戒区域は混乱を極める

オリンピックに向けて、特定のアリーナやスタジアムの周囲に立ち入り禁止区域を設ける計画が、しばらく前から策定されている。この計画についてホテル組合の代表は「あまりに規制が煩雑で、見ているだけで頭が痛くなる」と述べた。

イダルゴ市長とパリオリンピック

イダルゴ市長は長い間、パリオリンピックを巡る論争の中心的人物だった。ある情報筋は英『BBC』に、「イダルゴ市長はずっと、今回のオリンピックを自分の手柄にしたいと望んでいたんです。しかし彼女の功績ではありませんし、パリ市には十分な予算もありません」と語った。オリンピックが成功したときにより大きな賞賛を受けるよう、市長がメディアでわざと悲観的な発言をしているという意見さえあるようだ。

開会式でダンサーがストライキを計画

米『CNN』によると、開会式に出演するダンサーのうち200人以上がストライキを起こし、その開催についても波乱が巻き起こった。ダンサーらが所属する労働組合代表のルーシー・ソランは記者団に対し、「確かに、開会式は危機的状況かもしれません。しかしながら、ストライキに参加するかどうかは個人の決断です」と語った。直前にストライキは解除され、無事開会式が執り行われた。

開会式の問題点

7月26日の夜に行われた開会式は、川で行われる初めての式典となり、当初の予想では60万人がセーヌ川の岸辺に集まって観覧する予定だった。しかし実際には、安全上の問題から人数に制限がかかることになった。

テロへの警戒を強めるパリ

パリオリンピックでは、さまざまな過激派組織による脅迫や、会場でテロ行為を計画した複数の人物の逮捕を受け、治安対策が最大の懸案事項となっている。

厳重な警備の弊害

英『BBC』によると、オリンピック中の安全を確保するために、パリには最大7万5000人の警察官、憲兵、民間警備員が集められた。これには莫大なコストがかかっている上、複雑なQRコードシステムや4万4000基のバリケードにより、パリ市民に混乱が生じている。

影響を受ける地元の飲食店

パリの治安が悪化し、移動もままならないことから、地元の飲食店は懸念を抱いている。あるレストランのウェイターは同放送局に対し、「少し心配です。こんなにパリが静まりかえっているのは見たことがありません。90%の客がいなくなってしまいました」と語った。例年、観光のピークシーズンとなる夏場には多くの人々で賑わう地区である。

他国からの干渉に対する懸念

フランスのジェラルド・ダルマナン内務大臣は記者団に対し、ロシアやその他の国々による「通信妨害や情報の歪曲」を最も懸念していると語った。「すべての国がオリンピックによる停戦を守ることを期待している」と付け加えた。

イスラエル選手団の参加禁止を求める声も

パレスチナとイスラエルの紛争が続く中、イスラエル選手団のオリンピック参加禁止を求める声も上がっている。フランスの国会議員トーマス・ポルテスは「イスラエル選手団はパリオリンピックでは歓迎されない」と述べた。

オリンピック参加禁止の前例は?

国際司法裁判所により、イスラエルはパレスチナに対し特定の人種を迫害する「アパルトヘイト」を実行したという判決が下されたことで、イスラエルの参加禁止への声が高まったのである。オリンピックのウェブサイトによると、南アフリカもアパルトヘイトに対して世界中から非難を浴び、1964年から1988年までオリンピックへの参加を禁止されていた。

「持続可能なオリンピック」にはなっていないという批判

また、パリ大会では持続可能なオリンピックを目指しているが、『ウォーミングアップ:気候変動がどのようにスポーツを変えるか』の著者マデリン・オアは「持続可能なオリンピックは未だ存在しない」と主張している。

中国のドーピング問題

中国のドーピング問題も物議を醸している。米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると2021年の東京オリンピック前に、競泳選手23名が薬物検査で陽性となりながら、大会への出場を認められていたという。国際的アスリート団体「グローバルアスリート」のディレクター、ロブ・ケーラーは米『CNN』に、「もし中国の競泳選手が表彰台に上がったとしても、確実にメダルを剥奪されるでしょう」と語った。

完璧なオリンピックは存在するのか

開催国のプライドと莫大な予算をもってしても、完璧なオリンピックを開催することは難しいだろう。選手のやる気を削ぐような論争やトラブルができる限り起こらないクリーンなオリンピックを願うばかりである。

 

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