サッカー界の伝説、エリクソン元監督、死後に多額の負債を残していたことが判明
昨年8月に逝去した名監督
スヴェン＝ヨラン・エリクソン氏はスウェーデン出身のサッカー指導者で、イングランド代表を指揮したことで知られ、昨年8月26日、がん闘病生活を経て76歳でこの世を去った。
イングランド代表史上初の外国人監督
エリクソン監督は2001年にイングランド代表初の外国人監督に就任し、「スリーライオンズ」の愛称で親しまれる同代表を2006年まで率いた。日韓W杯（2002年）、EURO2004、ドイツW杯（2006年）ではイングランドを準々決勝に導いている。
12クラブで指揮官を務める
クラブレベルではプレミア・リーグのマンチェスター・シティやレスター、セリエAのローマやラツィオといった欧州の強豪12クラブで指揮を執り、18のタイトルを手にした。代表チームではイングランドのほかに、メキシコ、コートジボワール、フィリピンで監督を務めた。
多額の負債を残して死去
輝かしいキャリアを築いたエリクソン監督だが、フィールドの外ではつねに順風満帆だったわけではないようだ。最近スウェーデンのニュースサイト『Göteborgs-Posten』が伝えた報によれば、同氏は死後370万ポンド（7億円あまり）にのぼる負債を残していたというのだ。
「財政管理ができていない」
各国代表や名門クラブからオファーを受け、指導者として輝かしい名声を得たエリクソン監督だが、2017年に『Expressen』誌の取材に対して自身の資産管理ができていないと明かしている。「自分の資産がどのくらいあり、どこにあるのかまったく把握できていない」というのだ。
負債額は約16億円
報道によれば、エリクソン監督は死亡時に総額864万ポンド（約16億円）の負債を抱えていたという。そのうち725万ポンドは英国歳入関税庁（HMRC）への未納分であり、同氏が保有していた総資産480万ポンドを計算に入れても多額の負債が残ることになる。
詐欺で約19億円を失う
エリクソン監督は2007年に、財産管理を委託していた金融アドバイザーのサミール・カーン氏に1,000万ポンド（約19億円）を使い込まれ、破産寸前になったことを明かした。その後カーン氏を訴えて勝訴したものの、同氏が破産宣告を受けたことから、謝罪はされたものの経済的補填を得ることはできなかったという。
売りに出された邸宅
エリクソン監督が晩年を過ごした豪邸「Björkefors邸」は、死後まもなく「バーゲン」価格で売りに出された。スウェーデン中西部のフライケン湖畔に佇むこの邸宅は、入念に手入れされた庭園と緑豊かな土地、さらにプライベートビーチまでそなえている。かつて売却案が浮上したこともある邸宅だが、監督は亡くなるまで所有権を手放すことはなかった。
ドキュメンタリー『SVEN』
エリクソン監督は金銭問題を抱えていたほか、2024年1月に末期の膵臓がんを宣告され、みずからの「余命はせいぜい1年」であることを明らかにした。同年8月、エリクソン監督のドキュメンタリー『SVEN』がAmazon Primeから公開され、過酷な闘病のようすが伝えられた。
ジョギング中に倒れ、がんと診断される
発症がわかったのは、昨年1月にジョギング中に意識を失って病院に搬送され、息子ヨハンらが駆け付ける事態となったときのことだ。監督はドキュメンタリーの中でこの時をふりかえり、「医師が涙ぐんでいると、なんとなくわかるんだ。最悪の事態を告げようとしているんだとね」はコメントしている。
5度の脳卒中も経験
エリクソン監督を見舞った娘のリナは、「父が5回も脳卒中を起こしたことを知って、恐怖感に捉われ、つづいてパニックに陥りました」と語った。
27歳で選手生活を引退、指導者の道へ
エリクソン監督は母国スウェーデンでサッカー選手として活躍し、27歳で引退した。引退から2年後の1977年に同国のデゲルフォーシュIFで監督デビューを果たし、翌年はIFKヨーテボリを率いた。このチームでスウェーデンリーグ、2度のスウェーデンカップ、1982年のUEFAカップ制覇という目覚ましい成績を上げ、国内外から熱い視線を集めるようになる。
欧州の“タイトルコレクター”
そして海外に活躍の場を移し、ポルトガルの強豪ベンフィカ、イタリアのローマやフィオレンティーナ、サンプドリア、ラツィオで監督を務め、セリエAのタイトル、2度のイタリアカップ、UEFAカップウィナーズカップなど7つのタイトルを手にした。
死の直前に行った「古巣巡り」
がん宣告と余命を明らかにしたエリクソン監督は、その病状がすすんでいたにもかかわらず、古巣のラツィオやサンプドリアなどを訪ねて旧交を温めた。昨年3月にはアンフィールドに行きたいという夢を叶え、現地で開催された慈善試合でリヴァプールのレジェンドチームを率い、アヤックスのレジェンドチームに対し4-2で勝利を収めた。
別れのメッセージ
前述のドキュメンタリーの中で、エリクソンは人々に別れのメッセージを送っている： 「なにごとにもベストを尽くした前向きな男として覚えていてほしいと思います。悲しまず、笑顔で見送ってください。素晴らしい人生でした。コーチたちにも選手たちにも、ファンの皆さんにも感謝します。身体を大切にして、人生を満喫してください」
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