人気沸騰、男子バレーボール日本代表が52年ぶりの五輪メダルを狙う
パリ五輪で強豪のドイツ代表と熱戦を繰り広げた男子バレーボールに注目が集まっている。人気選手も多く、人気沸騰中の男子バレーボル日本代表をおっていこう。
27日、男子バレーボール日本代表は第1次リーグ初戦でドイツと対戦。リードしたものの逆転され、2-3の黒星発進となった。ドイツに続き、アルゼンチン戦、米国戦が控えている。
昨年日本で開催された日本代表の試合は連日満員御礼で、グッズ売り場には長蛇の列ができた。「推し選手」の応援用うちわを持ったファン達が熱い声援を送る試合会場は、まるでアイドルのコンサート会場のようだった。
今をときめく男子バレーボールだが、1972年のミュンヘン大会で金メダルを手にして以降、52年にわたって五輪の表彰台から遠ざかっている。さらには五輪に出場した回数より、予選で敗退した数の方が多い。
しかし、ここ数年で一気に世界ランキングにおけるポジションを上げ、2023年の「ネーションズリーグ」では銅メダルを手にした。現在の日本代表は「21世紀最強」と称され、パリ五輪でのメダルが期待されている。
男子バレーがここまで強くなった理由のひとつに、「日本史上最高の逸材」と称される、主将で絶対的エースの石川祐希選手の存在があげられる。
さらには彗星のごとく現れ、石川選手とともに日本のWエースを担うまでに成長した髙橋藍選手もいる。
その他にも2019年の「バレーボールワールドカップ」でベストサーバー賞を獲得した西田有志選手をはじめ、稀に見る才能が集まっている。
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2017年から日本代表のコーチを務め、東京五輪の後は監督に就任したフィリップ・ブラン監督の存在も忘れてはならない。フランス代表のほか、イタリアやポーランドの名門クラブにおける指導経験を持つ名将だ。
そしてもう一人、日本代表を後ろから支える選手の存在がある。東京五輪でセッターを務めパリ五輪を目指していたが、2023年3月に31歳でこの世を去った藤井直伸(ふじい なおのぶ)選手だ。
東京五輪の後、2021年12月に藤井選手は目の不調を感じた。当初は原因が分からず検査を重ねたところ、2022年2月にまさかのがん宣告。胃がんのステージ4で、目の不調はがんが脳に転移した影響だった。そして2023年3月10日、闘病むなしく帰らぬ人となった。
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『Number』誌によれば、藤井選手は闘病中にこう語っていたという:「僕が目指すのは現役復帰じゃないですよ。パリオリンピックです。今この状態から、パリオリンピックに出たら、めちゃくちゃカッコよくないですか」
2023年7月、パリ五輪行きを決めた試合の後、歓喜の渦の中、選手達は集合写真を撮った。その中央に見えるのは、藤井選手が身に着けていた背番号3のユニフォームだ。
『Number』誌によれば、2023年9月のパリ五輪予選大会で、格下のエジブトに敗れチーム全体の士気がどん底にあったその夜、藤井選手の追悼番組が放映された。髙橋健太郎選手と関田誠大選手はこの番組を一緒に見て「これ、藤井さん来てるよな。見ているよな。頑張るしかねーな」と2人でリベンジへの思いを噛みしめたという。
髙橋選手は五輪決定後のインタビューで、興奮冷めやらぬまま「藤井さんやったよー!見てるー?」と、天に向かってガッツポーズを繰り返したと『スポーツ報知』紙が伝えた。
『日刊スポーツ』紙によれば、同じポジションの関田選手は藤井選手のユニフォームを着てインタビューを受け、涙をぬぐいながらこうコメントしたという:「......藤井さんがいたかった場所に、自分もここに立って、頑張ろうと思って戦った結果、皆さん助けてくれた。支え合っていけた結果が出たので本当によかった」
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この夏、藤井選手が目指していたパリ五輪が開催される。男子バレーボール日本代表はファンの期待と藤井選手の思いを背負い、心をひとつにして頂点へと突き進む。