SNS人気の走り高跳び選手、ユリア・レフチェンコ(ウクライナ):パリ五輪で活躍し、母国を勇気づけられるか
Instagramフォロワーを50万人近く抱えるユリア・レフチェンコ(ウクライナ)。走り高跳びの選手としては、世界屈指の人気者だ。
Instagram上では、南欧やトルコなど各地で旅行を満喫する様子を投稿しているが、もちろん本業の走り高跳びを疎かにしているわけではない。
ワールドアスレティックス(世界陸連)の公式ウェブサイトによれば、レフチェンコの五輪デビューは2016年のリオデジャネイロオリンピック。2020年東京オリンピックでは8位に入賞を果たしており、今夏のパリオリンピックは3度目の五輪となる。
一方、母国のウクライナではロシアが侵攻を続けており、レフチェンコがパリ五輪で金メダルを目指す意欲は個人的なものに留まらない。
『ザ・サン』紙によれば、レフチェンコはロシア軍が侵攻を開始した直後に「私はただ、母国のウクライナで暮らしたいんです。ロシア軍もプーチンも要りません」とコメントしたそうだ。
2023年の世界陸上と2024年の世界室内陸上では、それぞれトップ10入りを果たしており、パリ五輪のメダルも射程圏内だと言える。
また、2014年のユースオリンピックでは金メダルに輝いた経験もある。スポンサー契約を結んでいるリシャール・ミルの公式サイトによれば、走り高跳びの女子選手は通常、2メートルを記録するのに15年かかるが、レフチェンコはわずか7年で達成してしまったとのこと。
さらに、2017年にはウクライナの最優秀女子アスリートとなったほか、ヨーロッパ陸上新人賞(European Athletics Rising Star of the Year)も獲得。2019年には世界ランキング2位に登りつめ、ヨーロッパU23陸上競技選手権大会とヨーロッパチーム選手権大会を制覇した。
レフチェンコはユースオリンピックやヨーロッパチーム選手権大会での金メダルに加え、世界陸上やヨーロッパ室内陸上競技選手権大会、ミリタリーワールドゲームズでも銀メダルに輝いたほか、銅メダルも2度獲得している。
本人はリシャール・ミルのウェブサイト上で競技についてこう語っている:「私はすぐに走り高跳びにのめり込みました。身長と体格(現在、身長179センチメートル、体重60キログラム)のせいかも知れません。13歳の頃から背が高く、細かったんです」
「まるでゲームのようでした。どんどんバーを高くして落とさないように飛び越え、失敗したらやり直したり。パフォーマンスにおける細かい点は気に留めませんでした。純粋に楽しかったんです」
競技における輝かしい成績とSNS上での人気ぶりによって、2018年に高級時計ブランド「リシャール・ミル」がパートナーとなったほか、大手スポーツ用品メーカー「ナイキ」もスポンサー契約を締結。
果たして、パリ五輪でメダルを獲得し、戦禍に苦しむ母国に希望をもたらすことはできるだろうか。その活躍に世界の注目が集まっている。