バスケ試合を左右する「シックスマン」たち:NBAのレジェンド選手たちを振り返る
「シックスマン」について聞いたことがあるだろうか?バスケットボールでは1チーム5人でコートに立つが、その「6人目」を担うのが「シックスマン」だ。
試合で最初に注目を集めるのはもちろんスターティングメンバーだ。だが、ベンチスタートの「シックスマン」がスターティングメンバーよりも長いプレー時間を記録することもある。
バスケットボールのチーム人数は5人だが、ベンチスタートのサブメンバーのなかにはここぞという場面で途中出場して大きな役割を果たす選手がいる。そのような選手がシックスマン(第6の選手)と呼ばれるのだ。
シックスマンのなかにはスターティングメンバー以上のカリスマを持つ選手もいて、彼らが出場すると観客席が沸き立つのみならず、ゲームの流れが一気に変わることがある。
NBAの歴史を振り返っても、90年代のシカゴ・ブルズ、80年代あるいは60年代のボストン・セルティックスといった強力なチームにはやはりすぐれたシックスマンがいて、スーパースター揃いのチームをさらに補強していたことがわかる。
つまり、シックスマンはその名の通り、第6のスターティングメンバーに他ならず、攻守どちらにおいてもゲームの流れを変えるような貢献を期待されているのだ。
以下にNBA史上最高のシックスマンたちを紹介しよう。
2005年のNBAドラフト2巡目で指名されたルー・ウィリアムズ(1986年生まれ、メンフィス出身)は頼りになるシックスマンだった。17年間のキャリアを通して7つのチームでプレーした。
ウィリアムズはシックスマンとしての功績を称える「シックスマン賞」に3度選ばれており、キャリアを通じて1試合あたりの平均得点数は13.9、フィールドゴール成功率は41.9%だった。
ジャーマル・クロフォードは1980年生まれ、シアトル出身。ストリートバスケを彷彿とさせるドリブルスキルで、相手ディフェンスを翻弄した。
クロフォードもシックスマン賞を3度受賞している。最も活躍したのは2013-2014年シーズンで、1試合あたりの平均得点数は18.6を記録している。
トニ・クーコッチはクロアチア生まれの選手で、渡米後ややあってからNBAでプレーし始め、マイケル・ジョーダン擁するシカゴ・ブルズの有能なシックスマンになった。
クーコッチはシカゴ・ブルズで1996年から1998年にかけて3度のリーグ優勝を経験した。1996年にはシックスマン賞に選ばれたが、そのレギュラーシーズン、ブルズは72勝という途方もない成績をあげていた。キャリアを通しての3ポイント成功率は33.5%である。
サンアントニオ・スパーズはNBAにおいて安定した強さを誇るチームだ。スパーズのシックスマンとして重要なのは、マヌ・ジノビリ(1977年生まれ、アルゼンチン出身)である。ここぞという場面で起爆剤となり、2000年以後、4度のリーグ優勝(2003年、2005年、2007年、2014年)に貢献した。
ジノビリのキャリア通算フィールドゴール成功率は44.7%、スリーポイント成功率は36.9%である。2008年にシックスマン賞を獲得した。
ジョン・ハブリチェック(1940-2019)はNBAにおける最初の偉大なシックスマンである。泣く子も黙る60年代黄金期のボストン・セルティックスに所属し、8度のリーグ優勝を経験したのだ。
ハブリチェックは「良いシックスマンとはいかなるものか」というスタンダードを定めたといえる。その偉業に敬意を表して、シックスマン賞の受賞者に与えられるトロフィーは2022年に「ジョン・ハブリチェック・トロフィー」と呼ばれるようになった。